子供の絵本店

絵とお話しがマッチして・・・
　５，６ページのいちょうの絵は本当にきれいです。いちょうが黄色く色づき、そして、黄色い葉が絨毯のように、屋敷をおおっています。そこに、麻美が探していた飼い猫がいました。自分が知っている、三郎という猫とは何処か違っているようです。 　・・・人はそれぞれ自分の価値観や思い込みを相手に押し付けたりしてしまいがちです。 でもそれは間違いで・・・麻美はそれに気がつきます。最後は素敵な結末です。 　
親の方が考えさせられる絵本
（あらすじ） 猫とは「こういうものだろう」と頭から思い込んで接していた女の子が、 ある日行方不明になってた飼い猫に屋敷の前で再会します。 三郎という名のその猫は、2本足で立ち、 人間の言葉をすらすらしゃべっています。 「いっしょに帰ろう。」と言う女の子に三郎は… ＊子どもとは「こういうものだろう」と勝手に理想を 　押しつけてしまいがちですが、一人一人違った個性をもち、 　その個性を認めてあげるのが大事だと気付かせてくれる、 　とかく、他人と自分の子を比べてしまいがちな親御さんに読んで欲しい絵本です。
大人が手元に置きたくなる一冊
しーんとした感じ。表紙の黒猫の絵も、人間のように直立しリアルでこちらの内面を見透かすようで、ちょっとこわいかもしれません。

いなくなった三郎猫を探して、麻美が迷い込んだ「いちょうやしき」で見たものは、三郎猫のきっぱりとした拒絶の態度と彼の本当の世界…。
不安な麻美の姿で始まり、三郎と再会、ほっとするのもつかのま、「ぼくは帰りません」の一言。再会後の二人の対話は、緊迫感あふれる舞台劇のよう。
その姿は、恋人同士の諍いのようでもあり、思春期の子どもの訴えのようでも、本当の自分を理解してくれなかった家族をとがめるようでもあります。「まいにちいっしょにいたのに、あたし三郎のこと、なにも知らなかった」はっとした麻美の呟きは、わたしたちの呟きのように感じられます。それでも、麻美が三郎を好きだと思う気持ちは嘘ではないし、心配し必死で探したからこそ、三郎の本音を聞くことができたのだと思います。ひとと分かり合う難しさ、そしてそのひとを大切に思うなら受け入れことができるのだと伝えているように感じました。
そして、背景に広がる美しい秋の世界。銀杏の木。心に染み入る美しさです。
大人向けですが、思春期を迎えようとする小学高学年の子に読み聞かせしたい一冊です。